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薬剤師研修支援システム

次世代薬剤師の生涯学習に求められるクオリティ-とインセンティブ 

2019年11月

北里大学 名誉教授                   
日本女性薬剤師会薬剤師生涯教育センター 認定薬剤師制度 委員長 小宮山貴子

 

 本年6月に、日本薬剤師研修センター(研修センター)の理事に就任致しました。

  薬剤師の生涯学習を支援・推進する目的で1989年に設立された研修センターは、1994年に「研修認定薬剤師制度」をスタートさせました。薬剤師免許を持つにふさわしい資質を維持するための生涯学習を支援し、その成果を認定するための制度で、我が国の薬剤師免許が、薬剤師国家試験合格後に一度申請を行なえば、その後更新する必要がなく一生涯有効な仕組みの中で、先人が生み出した改革の第一歩であり、薬剤師免許更新制度の将来像をも見据えた上での取組みであったに違いないと思います。

  1995年4月に研修センター理事長に就任された(故)内山充氏は、薬学教員との会議の席で「大学卒業式の時に、薬学部卒業生全員に【薬剤師研修手帳】を持たせて社会に送り出してほしい」と述べられました。薬学部専任教授になったばかりの私は大いに感化され、卒業研究配属中の4年生に【薬剤師研修手帳】を配り、私自身も一冊入手したことを覚えています。しかし当時は、研修認定薬剤師となることに全くインセンティブがなく、私の取組みはすぐに消滅しました。

  研修センター設立後30年が経過し、この間、2004年には薬剤師に対する各種の生涯学習と認定制度を第三者評価する機関として薬剤師認定制度認証機構(CPC)が設立され、CPCによって認証された認定薬剤師認証研修機関(プロバイダー)は現在までに、G(生涯研修認定制度)25機関、P(特定領域認定制度)5機関にまで広がりました。日本女性薬剤師会も2012年12月にG16の認定を受け、出産や育児、介護等で離職した薬剤師の復職を支援し、旧4年制卒業の薬剤師の知識や技術等を6年制教育レベルに近づける手助けをし、青少年期・思春期を経て結婚・妊娠・出産・育児、そして更年期・高齢期にわたる女性の各ライフステージにおいて男性とは大きく異なる健康課題や性と健康を女性の視点で考え、全国組織体制で生涯学習事業を展開しています。

  薬剤師の生涯学習の機会と選択肢が多様になった一方で、他のプロバイダーの単位受入れ条件や更新取扱いの違いなど、受講生には不便な問題も生じています。CPC認証を受けない機関や職場内での学習については、新たな議論が必要です。次世代の薬剤師生涯学習のためには、提供される学習と認定のクオリティーを更に高めること。薬剤師免許を有している限り、いかなる職種に従事しようとも生涯にわたり研鑽し、その客観的証明を示すことが医療人の義務であることを学生の時から常に意識させること。そして、生涯学習に更なるインセンティブを与えるための検討が必要だと考えます。