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薬剤師研修支援システム

「6年制を生かし、新たなchallengeを」

2013年10月
公益財団法人MR認定センター
専務理事 小清水敏昌

 

 薬学教育協議会が発表した平成24年3月に薬系大学の6年制を卒業した卒業生・大学院修了者8,476人の就職動向によると、トップが薬局で39%(3,308名)、次いで病院薬局29.8%、ドラッグストア6.6%、と続き4番目に医薬情報担当者5.8%で493名。その他医薬品関連企業のうち開発、学術、研究や製造等の部門に就職したのが5.9%(503名)であり、医薬品関連企業全体としてみた場合は合計996名、11.8%が就職したことになる。また、国公私立薬系大学院修士及び博士課程修了者1,404人の調査結果では、MRとして34名の修士が就職。こうした高い教育課程を修めた者が使用方法の複雑化した医薬品の説明等を行い、医師等からの質問にも的確に答え適正な薬物治療に貢献できると考える。現在、国はiPS細胞を用いた再生医療等製品や創薬等を医療イノベーションとして掲げ、実用に向けて取り組みつつある。数年後には革新的な医薬品の誕生が期待されている。こうした近未来の医療界において薬学を専門とした人材がグローバル化しつつある製薬産業界の種々な仕事に就いてほしいと願う。

 

 当センターは毎年「MR白書」を公表している。登録している製薬企業やCSOに対するMR教育などに関するアンケート調査である。この中に「専攻分野別MR数」がある。薬剤師資格を持つMRが2000年の時点では全体の19.6%(8,546名)であったが、10年後の2010年では12.5%(6,584名)と落ち込み、2011年では更に減り11.2%(5,580名)である。この集計には修士以上も含んでいるが、10年間で7.1%減、単純に約2,000名が減少していることになる。残りは主に文系で2010年では55.6%(29,264名)。2010年でみると薬系と文系の比率は13%vs56%。この数値だけみると、医療現場にとって非常にアンバランスな感を否めない。

 

 最近の新薬は効果が強力であり、安全性の確保等がより強く求められている。医療現場での長期実習経験のある6年制の薬学を修めた者が製薬企業の各種業務に携われば、創薬、生産、審査申請や情報の調査・伝達等がより的確且つ効率的になるであろう。そのためには、まず大学が従来の企業へのイメージを変える必要がある。そして学生たちの能力を見極めその進路について木目細かな指導・教育をしていく責任があると考える。 。