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薬剤師研修支援システム

医療機関におけるIPWと薬剤師の役割 

2018年11月
公益財団法人 日本中毒情報センター 理事長 
森ノ宮医療大学 副学長 吉岡 敏治 

 

 医療現場では多職種間のチーム医療が進み、地域では病床機能の分化が進んで、医療内容により役割分担されるようになりました。福祉施設も含めて、地域医療連携が推進され、地域の中で完結する医療体系が包括ケアシステムとして構築されつつあります。このような状況の中で、私の所属しているような医療系大学では、IPW(Inter-professional Work:専門職種間連携協働)関連の授業が始まっています。各学科の垣根を越えたIPE(Inter-professional Education:専門職種間連携教育)は、今後、ますます盛んになると思います。私が理事長を勤める公益財団法人日本中毒情報センターは、常勤薬剤師14名、非常勤薬剤師25名(常勤換算8.6名)の薬剤師中心の職場であります。これに常勤の医師、獣医師が各1名、事務職員として11名が働いています。大阪と筑波の2か所に事務所があり、問合せ業務に答えるため、薬剤師は24時間、365日勤務しております。複雑、多岐にわたる中毒情報を救急医が習得することは不可能であるということが、中毒情報センター設立の原点で、中毒情報の収集・整備とその提供は2大業務でありますが、トキシコビジランスや国民教育も含め、医師、薬剤師、看護師、救急救命士、その他多くの職種の方々への教育も重要な業務となりつつあります。

   薬学部が6年制になり、近隣の薬科大学や実習を引き受けている薬局から学生への実習を依頼されるようになりました。しかし、その数は極めて少数と言わざるを得ません。

   注射薬自動払い出しシステム、一包化のような調剤やデリバリー専用のロボット、在庫管理システム等々が果たし得る業務はさておき、医療施設では薬品情報室があり、医師や看護師に対して薬の適正使用についての助言が行われています。一方、病室では患者一人一人に、服薬指導がなされています。これらの業務には広い範囲の知識が必要ですが、中毒情報はこれら薬品情報室業務等とは異なり、対象物質はより広範囲で、発生状況も千差万別です。薬剤師全員に中毒情報センターの体験実習に参加して頂くのはおよそ不可能です。中毒情報センター設立30年の経験をもとに、発生状況からみた急性中毒初期対応のポイントを①家庭用品、②医薬品、③農・工業用品・化学兵器の3編に分けて、発刊する計画を立てています。地域のかかりつけ薬剤師として、これらを職能の一部に資して頂ければたいへん嬉しいです。