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薬剤師研修支援システム

六年制薬剤師の鼓動が聞こえる

2011年12月
専務理事 平山 一男

 

 なでしこジャパンがワールドカップで優勝し、国民栄誉賞を受賞するなど、一躍脚光を浴びる存在となりましたが、その陰では人知れぬ努力の積み重ねがあったものと推察します。

 

 薬剤師の世界では、制度はじまって以来の大改革である六年制教育を受けた最初の薬剤師が誕生するまであと4ヶ月となりました。どのような薬剤師が医療現場に現れるのか、薬剤師の未来を占う存在として、期待を持って注意深く待ち受けるという心境です。

 

 しかし、新卒薬剤師はいくら六年の教育を受けたといっても薬剤師としてのスタートラインに立ったところであり、これからの医療現場で様々な患者、病態に接し、経験を積んでそれによって薬剤師として、また人間として大きくなっていくことと思います。

 

 そこで重要なのが、社会の中で既に薬剤師として働いている先輩諸兄や先輩諸姉が、後輩たる六年制新卒者の使命感、向上心を引き出すよう、薬剤師職能をアピールしながら仲間として迎え入れること、薬剤師関連諸団体が、六年制卒薬剤師が大きく育つことができる環境を整備することであろうと思います。

 

 何といっても、薬剤師が、薬剤師として活動するなかで国民の目に頼もしく映ることが重要で、そこが薬剤師の表舞台であり、表舞台で注目されることで更にやる気を出していく、そういった相乗効果がほしいと思います。役者が表舞台でうまく演技するためには、舞台裏での綿密なリハーサルが必要です。サッカーの選手も、試合で結果を出せるよう日々厳しい練習を積みます。薬剤師も医療現場のなかで、患者の役に立ち、感謝され、自らの使命感に満足できる仕事をするには、日々の自己研鑽に励む必要があるでしょう。

 

 そういう意味では、薬剤師の研修は、サッカー選手の日々の練習のようなもので、結果を出すための手段であって目的ではありません。研修後に取得できる認定制度も数多くありますが、認定をとること自体が目的となってもいけません。ただし、「結果の出ない研修は無意味」と言っている訳ではなく、同じサッカー練習をしていても結果の出る選手と出ない選手がいるわけですから、「結果を出せるよう工夫して研修する」ことが大切です。認定制度も、認定取得により患者の信頼が得やすくなるなど、結果を出すために役立てられることが必要だと思います。認定制度の信頼を損ねるような行為には、認定取り消しなど厳しい対応が必要となります。日本小児臨床薬理学会と共同で実施する予定の小児薬物療法認定薬剤師制度もそのような趣旨に沿うよう検討されているところです。

 

 今後とも、医師・看護師・国民など薬剤師以外の第三者からも評価され、薬剤師が自他共に納得できるような研修内容の充実した研修制度・認定制度を提供し、四年制卒、六年制卒を問わず、研修に裏打ちされた医療現場の薬剤師活動を舞台裏から支援してまいりたいと思います。