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薬剤師研修支援システム

公益財団法人としての日本薬剤師研修センター

2012年4月
 理事長 豊島 聰

 

日本薬剤師研修センターは、4月1日から公益財団法人となり、新たなスタート台にたちました。公益財団法人となっても、「優れた薬学的ケアを実行できる薬剤師を求める社会的要請に応えるために、薬剤師の生涯学習を支援し、推進することによって国民の健康確保に寄与する」という設立時の目的を果たすため、あらゆる職種の薬剤師の生涯学習の支援を行うという方針に変わりはなく、さらに支援業務の充実(提供する研修内容の充実)を図ることを考えています。
本年度(平成24年度)は、希望する研修の受講機会の少ない地方の薬剤師や業務量が多く多忙な薬剤師の研修受講の利便性を高めるためにビデオ(DVD)研修やe-ラーニング研修等をより充実させます。また、これまでの認定制度に加え、日本小児臨床薬理学会と協力して小児科領域において医薬品に関わる専門的立場から医療チームの一員として小児薬物療法に参画するための能力と適性を備え、さらに患児とその保護者等に対しても適切な助言及び行動ができる薬剤師の養成を目的として、小児薬物療法認定薬剤師制度を開始します。 セルフメディケーションの推進のため日本薬剤師会との共催で、薬局店頭で適切な情報を提供するための「一般用医薬品研修会」も開催します。さらに、病態と薬理を理解して薬学的ケアを実践するための病態・薬理シリーズについては、今年度、脂質異常症領域、がん領域の研修を行います。

 

少子高齢化社会を迎え医療チームのメンバーとして薬剤師の果たすべき役割はますます重要になってきています。この役割を十分果たすためには、薬剤師が自らの資質向上のために生涯を通じて常に新しい知識と技能を修得し、業務の充実に努めるようにしなければなりません。しかし、多忙なため日常業務に流されて計画性を持った生涯学習に励むことのできる薬剤師は、必ずしも多くないように感じます。同様に多忙な医療チームの一員である看護師はより多くの人が自ら計画性を持った生涯学習に励んでいると聞いています。これは看護師が生涯学習の重要性を認識していることもあると思いますが、生涯学習の道筋がより明確に示されていて能力向上に邁進しやすいこともあると思います。薬剤師の資質向上のための生涯学習の道筋を示すことは薬剤師研修センターの重要な役割であり、今後研修内容の充実に加え、薬剤師の職域と関連する組織と相談してその道筋を明確にしていこうと考えています。