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薬剤師研修支援システム

次の一歩:6年制薬剤師の始動にあたり

2012年7月
厚生労働省医薬食品局総務課 山本 史

 

 薬剤師調査によれば、平成22年12月末時点での全国の届出「薬剤師数」は約28万人。勤務先別でみれば、薬局に約15万人、病院・診療所に約5万人、医薬品関係企業や販売業に約5万人。その他にも大学、行政といった様々な場で薬剤師が活動している。そして、今春、6年制薬学教育の一期生約8千人が新たに薬剤師としての活動を始めた。

 

 今日、疾病を治療・予防し、健康を確保する上で薬は大きな役割を果たしている。一方、現在の医療を取り巻く技術の進歩は著しく、医療現場には次々に新しい薬が導入されるなど、医療の高度化・多様化が一層進んでいる。そのような状況の中で、それぞれの現場に立つ薬剤師に求められる活動も拡がりを見せている。例えば、病院では、患者さん一人一人にあわせた最適な薬物療法を提供するため、チーム医療の中で、他の医療職種と協働しながら、調剤室のみならず病棟において積極的に活動していくことが期待されている。また、退院して自宅に戻った患者さんが引き続き良質の医療サービスを受けられるよう、在宅医療の推進が図られており、地域の薬局薬剤師も、地域の医師、看護師等や介護スタッフと連携しながら在宅医療の活動に参加していくことが強く求められている。さらに、薬剤師は、優れた新薬を世の中に誕生させるため、病院や製薬企業において、薬の開発研究、治験などに従来以上に積極的に取り組み、貢献していくべきである。一方、地域の薬局等は、一般用医薬品などを活用した軽医療の現場でもある。患者さんの症状などに応じて薬の選択や対処方法について助言を行い、地域住民の方々が気軽に健康や薬について相談をすることができる薬の専門家として機能すべきである。

 

多岐にわたるこれらの活動であるが、どれも、個々の患者さんにおいて、薬のリスクを最小限に抑え、そのベネフィットを十分に活用できるよう、薬の専門家として取り組むという薬剤師の役割は共通であり、そう考えれば、従来の活動の延長でもある。薬剤師の第一歩を踏み出したばかりの6年制薬剤師のみなさまも、また、既に先輩薬剤師として活躍しているみなさまも、それぞれの立場で、患者さんと薬をつなぐ専門家として必要な研鑽をつみながら、臆さず、次の一歩を、踏み出していただきたい。