2012年9月
公益社団法人日本薬剤師会 会長 児玉 孝
私儀平成24年6月の総会にて日本薬剤師会会長に再任されました。就任後より、当面の重要課題への対応について様々な事業案を策定し、順次実行している所ですが、その中の一つとして生涯学習制度(JPALS)の推進があります。この重要事業を進めるにあたっては日本薬剤師研修センターとの連携強化は不可欠です。この連携強化を考える上で再度日本薬剤師研修センター設置の経緯について知る必要があります。
研修センター設立時の経緯については平成22年年7月、8月、9月の研修センターニュース巻頭言に代田元厚生省大臣官房審議官、山本元日本薬剤師研修センター専務理事、佐谷元日本薬剤師会会長3氏によって詳細に書かれており、お読みになられた方もおられると思います。要点は黎明期の医薬分業推進の一方策として、当時の日本薬剤師会石館守三会長のもと、多くの先達・先生方の薬剤師に対する熱い思いと物心両面にわたる大変なご努力と厚生省(当時)の協力により日本薬剤師研修センターは平成元年6月に設立されたという事実を私共は忘れてはならないということです。その後23年を経て今日医薬分業による保険薬局の処方箋受取率は約65%に達し、それに伴い各職域における薬剤師がようやく本来の薬剤師業務が可能になる環境が整いつつあります。またそのような時期に合わせるかのように、本年4月薬学教育6年制の薬剤師が社会に出てきました。一方で社会保障制度改革に見られるように、来たるべき超高齢少子社会に向けて、セルフメディケーションから病棟、そして在宅に至るまで、薬剤師への社会的期待が高まりつつあります。そういった要請に応えるためには薬剤師の資質向上のための生涯学習がますます重要となり、まさに23年前の先達・先生方の思いを結実した研修センターの存在は更に大きくなります。そのようなことから冒頭申し上げた研修センターと日薬との連携強化を当面の重要課題としていきたいと考えています。
最後に平成10年3月、当時の日本薬剤師会吉矢佑会長が退任前の最後の全国研修会における講演時において、参加者から「今、何をすることが重要ですか?」という質問に対して「1に勉強、2に勉強、3・4がなくて5に勉強だ」と言われたことを、医薬分業への批判のある今こそあらためて肝に銘じ、その拠点となる研修センターの今後の発展に期待したいと思います。