2013年5月
厚生労働省医薬食品局総務課 薬事企画官 中井 清人
薬剤師生涯学習の会議やシンポジウムなどで、クール(Cool)な生涯学習をやりたいと発言します。私の普段の態度によるのかもしれませんが、周りの方々に真剣に受け取っていただけないことがあります。でも、本人は至って、真剣です。
私もそうですが、勉強しなさいと言われて勉強をしたことがありません。目標や夢があるからこそ、それに向かって、勉強すると思うからです。クールだと見られたいという目標があっても良いと思うからです。
また、これは、生涯学習関係に限りませんが、新たな取り組みをされている方々やグループに対して、感謝の意を表すことにしています。それは、私自身が臆病であり、新たな取り組みをするだけの能力に乏しいと言うだけでなく、新たな取り組みが医療を更に良くし、その取り組みを行った方が、研修を考えている薬剤師の先生の目標になって欲しいと願うからです。新たな取り組みがうまくいかないこともあるかと思いますが、うまくいくこともあると思います。そのような試行錯誤、問題解決のための取り組みが、薬剤師の資質の向上に必要だと信じています。
つまり、生涯学習において、若干、不真面目と思われるかもしれませんが、クールな目標に向かうことにより、多くの方々、特に若い方が生涯学習を行う。その生涯学習で知識を得ることに加えて、新たな取り組みをトライする能力を得ることが出来れば、薬剤師の職能が広がり、医療、特に薬物療法の質の向上が出来ると、私は、信じています。
そして、その先駆者である薬剤師の先生が、その試行錯誤の結果をエビデンスとして、公表し、それを大きく主張することが、極めて重要と思っています。その一つの成功例を目にした他のやる気のある薬剤師の先生がそれを真似し、若しくは改良し、さらに情報を発信することにより、やる気のある薬剤師の方々の活躍が広がっていくことを期待しています。こんな正のスパイラルを願っています。
こんな私の夢の実現の第一歩が生涯学習の充実です。生涯学習を行う動機が、クールな薬剤師になりたい、名刺にかっこいい肩書きが書けるということでも良いと思っています。医療をより最適化するためには、医療現場においての試行錯誤、つまり、絶えず問題点を見つけ、それを解決していくことが求められます。医療現場において問題解決能力が身につくような生涯学習を計画して実行して、医療現場で見つけられた問題を解決することが一つのエビデンスとなり、それを発信していただけることを期待したいと思います。