2013年6月
公益社団法人日本薬学会 会頭 柴崎正勝
日本薬学会会頭へ再登板致しました柴崎でございます。最初の会頭時は東大院教授でありました。今回は(公財)微生物化学研究会•微生物化学研究所所長からの会頭職であります。東大教授時代と現在では、日々議論する内容も異なる事もあり、若干考え方も変わっている自分自身を感じております。さらに最初の会頭時代は任期が1年でありましたが、今回は任期が2年という事もあり、会頭としてしっかりした仕事ができる、仕事をしなければならないという強い責任感と緊張感を持っております。
日本薬学会の現在の最大の問題は、6年制教育に関する様々な事柄であります。御承知の事とは存じますが、6年制薬学教育の発足は、問題解決能力の高い科学者薬剤師を数多く社会に輩出する事にありました。これ迄以上の科学者薬剤師になるための教育内容の充実、長期実務実習と、多くの方々の努力により6年制教育のスタイルがほぼ出来上がったと考えられます。但し、生みの苦しみは当然の結果でありますが、様々な問題点が提起されるに至り、現在その改善に向けての活発な議論がなされています。ポイントは、講義内容が多すぎる等々の理由で、卒業研究が充実してなされていないのではないかという問題点であります。問題解決能力の高い科学者薬剤師の輩出にとりまして、未知の事柄を研究する程有効な手段は無いと考えられます。もしこの卒業研究問題がベターな方向に向かわないとしますと、何の為の6年制薬学教育であったのかという問題に迄至ってしまいます。何としてでもよりベターな6年制教育の実現に向けて素晴らしい改善案が提出される事を望んでいます。勿論、その目的の為に日本薬学会も全力で努力する所存です。
科学者薬剤師の生涯研鑽に関しましても、日本薬学会内の薬学教育委員会で徹底的な議論がなされています。その議論を基本に3月末に横浜で開催されました日本薬学会133年会でオール薬学キックオフと題するシンポジウムが開催されました。日本薬学会としましては、日本薬学会が有します科学的力量が最高に発揮できるような、科学者薬剤師の方々の生涯研鑽制度を構築すべくこれからも最大の努力を続けていく所存です。