2014年1月
理事長 豊島 聰
日本薬剤師研修センターは、優れた薬学的ケアを実行できる薬剤師を求める社会的要請に応えるため平成元年に設立され、本年6月に創立25周年を迎えます。創立以来、全職域の薬剤師が自らの責任で行う生涯学習を支援するため研修の充実を図ってきました。
研修センター創立時に設けられた研修認定薬剤師制度では、できるだけ広範に研修機会を提供するため当センターに登録された約2,600の研修実施機関(研修センターが定める基準に適合する機関・団体)が、全国で約14,000の研修会を実施しています。また、研修センターが独自で開催する研修会については、希望する研修の受講機会が少ない地方の薬剤師や業務量が多く多忙な薬剤師の研修受講の利便性を高めるために、座学に加えビデオ(DVD)研修やe-ラーニング研修等をより充実させてきました。現在、認定を受けている薬剤師は全国で約41, 000名を数え、設立当初に認定を受け6回以上更新している薬剤師も200人を超えています。しかし、他組織で認定を受けている薬剤師を加えても、研修認定を受けている薬剤師の比率は決して高くなく、全薬剤師が、生涯学習に励むことができる環境の整備が必要です。
一方、近年専門性の高い薬剤師の必要性が高まり種々の専門薬剤師認定制度が立ち上げられてきています。研修センターにおいても、平成12年4月には日本生薬学会と共同して漢方薬・生薬認定薬剤師制度をスタートしています。また、平成24年4月には、日本小児臨床薬理学会と協力して小児科領域において医薬品に関わる専門的立場から医療チームの一員として小児薬物療法に参画するための能力と適性を備える薬剤師を育成するため、小児薬物療法認定薬剤師制度をスタートしました。
さらに薬学教育6年制の教育の柱となる長期実務実習において、現場での指導に当たる認定実務実習指導薬剤師の認定事業も実施しています。
ところで、保険薬局の管理薬剤師及び病院の主任クラスで実務の中心を担う薬剤師の認定について現在検討を始めました。この制度の目的の一つは、病院や保険薬局で業務を牽引する中堅の薬剤師が十分実力を発揮することを支援することで、薬剤師関連の主要組織である日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本薬学会、日本医療薬学会に加え、厚生労働省の協力も得て進行しています。
創立25周年を迎え、日本薬剤師研修センターは、これからも設立時の目的である「薬剤師の生涯学習を支援し、推進することによって国民の健康確保に寄与する」を実行していきます。