2014年2月
独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
院長 楠岡英雄
釈迦に説法ですが、近年のチーム医療推進の流れに沿って、薬剤師の業務内容は大きく変わりつつあります。従来からある、処方箋監査、疑義照会、調剤薬監査、服薬指導、薬物血中濃度モニタリング等に加え、後発医薬品の代替調剤が可能となり、また、専門・認定薬剤師などの専門性の向上も求められています。「チーム医療の推進に関する検討会」報告書によると、「医療技術の進展とともに薬物療法が高度化しており、チーム医療において、薬剤の専門家である薬剤師が主体的に薬物療法に参加することが、医療安全の確保の観点から非常に有益である。」と、薬剤師の主体的参加が求められています。
具体的には、「薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について積極的な処方の提案」、「薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、薬剤の変更等を医師に提案」、「入院患者の持参薬の確認・管理(服薬計画の医師への提案等)」などの業務例があげられています。
当院では、病棟での注射薬のミキシングや持参薬の確認等を行っていますが、加えて、最近効果を発揮しているものにプレアボイド体制があります。これは日本病院薬剤師会の提案に基づき薬剤科が自主的に導入したものですが、毎月数件のプレアボイド報告があり、重篤な副作用の防止に繫がり、医療安全上、極めて有効に機能しています。これも形を変えた処方提案の1つと考えられます。
今後、新薬は分子標的薬などのように適応が厳格化し、投与前の遺伝子検査結果との照合などを必要とするものが増えていくと思われます。薬剤師にも専門的知識が益々必要になると思います。一方、医師も専門化し、専門領域外の併存症を持つ患者の持参薬等の服薬法については知識の乏しい場合がしばしばあります。実際、重大な結果を招いた投与法の誤りが報告され、医療安全情報が繰り返し出されています。薬剤師から医師・看護師に注意がなされていれば防げたものも多いと思われます。
今、病院は患者満足度に大きな関心を払っています。しかし、アメニティーの向上に先だって、患者の安全が保障されていなければなりません。患者安全推進、患者満足度の向上に薬剤師に期待されていることはまだまだあります。チーム医療の一員として共に進んでいくことを期待しています。