2014年4月
理事長 豊島 聰
年齢を重ねるにつれ、仲間から“最近の若い者は”というフレーズを聞くことが多くなりました。しかし、昨年11月頃の朝日新聞に掲載された「近年問題とされている若い世代の眉をひそめるような行動に関する記述が、戦前の朝日新聞の記事にも存在した」という記事をみて、ちょっと待てよと思うようになりました。友人の“最近社会人になっても自分で考えて物事を進めていける若い人が少なくなってきた”との意見に一瞬頷いたのですが、自分の若い時をよくよく思い出してみると、社会に出てすぐに自分の考えで行動できる人間はごく少数であったことに思い至りました。
最近、6年制卒業の薬剤師について、知識は豊富であるが、独力で考える力が不足しているという指摘をされた方がおられました。確かに、6年制薬学部のカリキュラムでは、非常に多くの知識の取得が要求されており、学生が自分で考える時間が少なくなっているようにみえます。しかし、社会に出て実学に基づいた勉強(経験と自己学習)をしないと真の実力がつかないことは、よく知られていることです。真の実力に裏付けられた考える力を身につけるためには、経験に加え必要な知識の取得を自己学習で得なければなりません。学習のためのチャンスは、日本薬剤師研修センターの研修会を初めとして多くの研修会がありますので、是非これらを利用して学習に励んでもらいたいと思います。
最近、薬剤師職能の見える化が議論されています。見える化の実現には、まず個々の薬剤師がその職能をはたすべき能力を有していることが必要です。また、その能力を十分発揮するためにはオーソライズされた組織により認定されていることも必要です。そのため、薬剤師研修センターを含む薬剤師関連の主要5団体が集まり、薬剤師職能を認定するシステムを検討中です。
本年6月、日本薬剤師研修センターは設立25周年を迎えますが、その設立目的は“薬剤師の生涯学習を支援し、推進することによって国民の健康確保に寄与すること”です。この設立目的に従い、薬剤師研修センターは薬剤師の生涯学習をできる限り支援します。まず実社会に慣れることが大変だと思いますが、若いフレッシュな薬剤師の皆さんには、薬剤師研修センター等の研修会を利用して自己学習をスタートすることを期待しています。