2014年6月
厚生労働省医薬食品局長 今別府敏雄
薬剤師の皆様におかれては、日頃から、医薬品の適正な使用、医療提供体制の確保など、国民の健康保持に貢献いただくとともに、薬事行政の推進に理解と協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
さて、日本薬剤師研修センターが設立25年を迎えましたことに、これまでの関係者のご努力に敬意を表します。
本センターは、ちょうど私が薬務局に在籍していた平成元年の設立当時、我が国の医薬分業率が10%程度の非常に低い状態でしたが、医薬分業を進めるためには、薬価や診療報酬・調剤報酬等の見直しや普及推進だけではなく、医療の高度化等に対応して、薬剤師の知識・資質の向上に着実に取り組む必要があるとの観点から、現任の薬剤師への研修や生涯学習を支援・推進するため、設立されたものです。
現在、本センターが実施している研修会は年間1万回を超えると聞いていますが、これまでの医療現場の薬剤師の取組やセンター関係者のご努力により、医薬分業率は66%(平成24年)に達しており、薬局・薬剤師は、地域医療を担う一翼として欠かせない存在になっています。
さらに近年、医療の高度化や高齢化の進行によって、病院内でのチーム医療や地域における在宅医療の分野で、薬剤師の役割はますます重要になっています。こうしたニーズに対応して、チーム医療や在宅医療等での実践的な能力を発揮できる薬剤師を確保するため、平成18年度から6年制の薬学教育を導入するなど、制度面での大きな見直しも行われ、平成24年度からは、こうした6年制の薬学教育を受けた薬剤師が現場に輩出されています。
他方、昨年12月に成立した改正薬事法では、消費者の安全を確保した適切なルールの下での一般用医薬品のインターネット販売の仕組みを整備するとともに、薬剤師が医療用医薬品とスイッチ直後品目等について対面で情報提供を行うことが法律で明記され、今年6月12日から施行されます。また、今年4月から指定薬物の所持も禁止され、インターネット等による違法薬物の取締りの対策を一層進めることとしています。
医薬品のインターネット販売をめぐる議論では、患者の状態に応じた薬の使用方法や効能等の情報提供の役割など、改めて薬剤師がその役割を適切に果たしているのか、専門職としての薬剤師の存在意義が問われたところです。薬剤師一人ひとりが、最新の医学的知識やコミュニケーション能力の向上に努め、その役割をしっかり発揮し、国民の期待と信頼に応えていく必要があります。
今後とも、日本薬剤師研修センターの関係者の取組と、医療現場での薬剤師の一層の取組に期待いたします。