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薬剤師研修支援システム

専門性と科学性の研鑽 

2014年11月
一般社団法人 日本医療薬学会 
会頭  佐々木 均

 

 一般社団法人日本医療薬学会会頭に就任致しました佐々木です。

 平成26年度の診療報酬改定により、チーム医療の重要性、在宅医療の拡大、介護の充実、病気予防の必要性など、大きな方向性が示されました。また、地域包括診療料・地域包括診療加算が導入され、診断群分類別包括評価(DPC)型病院の増加とともに、医療の包括化が推進されています。経済の成熟と将来の医療費増加を考えると、医療資源の適正な配置は必須です。厚生労働省が推進する医療政策は、「病院完結型医療」から「地域完結型医療」へと移行し、地域全体の医療機関を「外来から入院、在宅まで担う1つの大きな病院」とし、介護とも連携する考え方を進めています。限られた医療資源の中で、医療費用を抑制しながら医療の質を上げるキーパーソンとして薬剤師に期待が集まっています。

 日本薬剤師研修センターは、薬剤師の研修制度や認定制度を定着させ、薬剤師の資質向上に大きな役割を果たしてきました。チーム医療において、癌や感染などの特定分野では、さらなる専門性が要求されています。医療の高度化や薬剤師の職能拡大の中では、研修センターや学会の役割は特に重要です。プロフェッションが発展する中で、薬剤師は医療や薬物治療の課題を克服し、未来を作る科学者としての貢献も求められています。科学者の資質向上には、臨床の現場から問題点を発掘し、臨床研究へと進める積極的な姿勢が重要です。さらに学会を通じ発表や論文投稿を行い、第三者から批判を受け、万人が認めるエビデンスとしていく必要があります。日本医療薬学会は医療に携わる薬剤師・薬学関係者のプラットフォームとして存在し、これら専門性と科学性の高度化に貢献します。米国の薬剤師は30年をかけて、医療への様々な介入によるアウトカムを論文化し、エビデンスを作ることで、高い地位を獲得しました。

 診療報酬が包括化される過程では、医療資源の削減や再評価が進みます。高い専門性と科学的エビデンスを示し、薬剤師の存在価値を可視化することが望まれます。