2015年5月
公益社団法人 日本薬学会 会頭 太田 茂
本年度より日本薬学会会頭となりました太田でございます。2年間会頭を勤めさせて頂く予定でおりますので宜しくお願い致します。
現在、日本薬学会は薬学全般の研究領域をカバーする唯一の学会として位置付けられております。明治20年(1887年) 長井長義先生が薬学会の初代会頭になられた時に「薬品を可及的速やかに人体に吸収されやすい形に変えること、生薬の有効成分を明らかにすること、化学合成技術を駆使して薬品を創製することを以て、世界に日本薬学を雄飛させよ」と会員に決意を促しておられます。明治までの薬は草根木皮のイメージであり、その取り扱いは経験のみで行っていたのに対し、現在でいう所の製剤設計学、生薬天然物化学、医薬品合成学等の科学の力を導入することの重要性を力説なさっておられると思います。これらに加えて今日に至るまで医薬品適正使用に関する科学の進展が目覚ましくなり、現在では医療薬学領域は薬学会の中でも中心を占める学問分野の一つとなって来ております。このような中で日本薬学会は生涯研鑽の場として薬学会年会や医療薬学シンポジウムをはじめとする各部会のシンポジウムなどを提供しております。また日本薬学会にはChemical and Pharmaceutical Bulletin, Biological and Pharmaceutical Bulletin, 薬学雑誌という学術誌がありますが、医療薬学の領域における投稿をして頂きやすくするために薬学雑誌においては和文のみでなく英文の投稿も受け付けるように致しました。またケースレポートとして調査研究、症例研究の投稿も可能になっています。これからの薬剤師は、広く薬学関連領域に関心を持つことで、医療の現場で起こる様々な問題に対応できる科学力を培うことも求められると思います。この目的に適うよう日本薬学会も今後種々の研究集会や教育プログラムの提供を行いたいと思います。皆様の御支援を宜しくお願い致します。