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薬剤師研修支援システム

立地に依存からヒト(薬剤師)依存の薬局になるための生涯学習 

2016年6月
厚生労働省保険局医療課薬剤管理官 中井 清人

 

 最近、「立地依存からヒト(薬剤師)依存へ」というタイトルで話をさせていただくことがあります。青臭いと思われるかもしれませんが、ヒト(薬剤師)に依存した薬局経営が出来れば、今の分業バッシングはなくなると心から信じています。

  私のような一行政の担当者が、何ら経験も無いくせに、偉そうに発言できることでは無いのかもしれませんが、厳しい批判の中で住民の方々から頼りにされる薬剤師になるためには、最新の知見を学ぶだけでは足りないような気がします。住民のニーズに応えるだけでは無く、専門家として、薬剤師側から住民の皆様が納得・安心するニーズを提案・提供して、患者が離れないかかりつけ薬剤師となることが必要に思います。つまり、患者から頼られるヒト(薬剤師)になるためのサービス、言い換えれば、ヒト(薬剤師)に依存したサービスを提供することが必要ではないでしょうか。

  これまでにも、分業を進めてきた先人は、「妊婦の方には特に親切丁寧に相談しろ。そしたら、子供が中学を卒業するまで、その薬局から離れない。」、「何かあったら私に電話してと連絡先を提供し、患者に安心を提供しろ。」など、住民の方々に、薬局側からニーズと安心を自発的に提案し、患者から信頼される薬局を提供してきました。

  これからの生涯学習は、最新の科学技術だけではなく、ある意味では泥臭いというか、これまで、あまり研修では取り上げられなかった、患者を良い意味で囲い込むための方策に関する研修やワークショップも必要な気がします。こういった活動は、あまりかっこよくはないのかもしれませんし、何となく人気取り的な気がしないわけではありませんが、薬学や医療という枠にとらわれずサービスを住民に提供する者に求められる素養として、患者にわかりやすい形で信頼を得て、患者が薬局から離れなくなるために必要な努力ではないでしょうか。かかりつけ薬剤師になるためにも、また、住民から信頼されるヒト(薬剤師)になるためにも、こういった活動にも日を当てていくべきだと感じます。こういった活動が、立地依存から脱却したヒト(薬剤師)依存の薬局への近道になると期待しています。