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薬剤師研修支援システム

薬物治療を担う薬剤師の育成剤師 

2016年9月
聖マリアンナ医科大学病院 薬剤部 参与 増原 慶壮

 

   平成28年度の診療報酬改定で、薬局薬剤師には、かかりつけ薬剤師・薬局の評価、かかりつけ薬剤師・薬局による薬学的管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化、後発医薬品の使用促進、残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬を減らすための取組等の医薬品の適正使用の推進さらには患者本位の医薬分業を実現するための調剤報酬見直しに重点が置かれた。また、病院薬剤師においては、特定集中治療等における薬剤師の配置が評価された。いずれにおいても、薬剤師は医師の処方せん通りに薬を調剤することから脱して、適切な薬物治療のための薬剤管理に重きを置く方向性が打ち出された。

  これらの政策において薬剤師に期待されていることは、先進諸国の薬剤師が担っているくすりの専門家として薬物治療に積極的に関わり、チーム医療の中で、医師と対等なパートナーとして薬物治療への提案やモニタリングを担い、質の高い合理的な薬物治療を提供することであると考える。

  日進月歩の医療環境で、薬剤師がくすりの専門家として薬物治療を担うためには、薬の専門的な知識とともに臨床を経験した薬剤師の育成が重要であると同時に継続的な教育環境を構築しなければならない。聖マリアンナ医科大学病院では、新人教育から始まり、ジャーナルクラブなど薬物治療を担える薬剤師の育成プログラムが実践されており、また、継続的に勉強できる症例検討会やカンファレンスを定期的に行っている。

  しかし、個人の薬局薬剤師などは自ら教育環境を整えることはできないと思える。そこで、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本薬剤師研修センター等が提供している生涯研修プログラムや認定制度プログラムなどを積極的に活用して、薬物治療を担える薬剤師を目指す必要がある。

  最後に、医療保険の持続可能性を考えた場合、投薬においても、最小限に抑えることで医療費適正化を促す余地がある。薬剤師は、くすりの専門家として医師へ積極的に疑義照会を行い、経済性を含めて薬物治療の適正化に貢献することが期待されている。そのためには、薬物治療を担うことのできる薬剤師の育成が不可欠である。