2016年10月
一般社団法人 薬学教育協議会 代表理事 望月 正隆
薬学教育協議会は1958年に薬学教育の充実・改善・発展を目的に設立され、薬学教育基準作成など、薬学教育で大きな役割を果たしております。全国薬科大学・薬学部(73大学74学部)と日本薬剤師研修センター、日本薬学会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本私立薬科大学協会、国公立大学薬学部長(科長・学長)会議をはじめとする多数の薬学教育関係団体と学識経験者で構成される団体です。
認定実務実習指導薬剤師の要件である薬学教育者ワークショップの開催と修了証の発行も担当しています。この事業は厚生労働省の補助金により日本薬剤師研修センターが平成17年度から5年間に亘って展開し、多くの認定実務実習指導薬剤師を育成してきました。平成22年度以降は薬学教育協議会がワークショップ部門を担当し、今日に至っております。
6年制薬学教育は平成14年に日本薬学会が纏めた薬学教育モデル・コアカリキュラムに沿って平成18年4月に6年制薬学1期生が入学しました。その後、いくつかの問題点が指摘され、薬学教育モデル・コアカリキュラム平成25年度改訂版が文部科学省のもとの検討会から出されました。卒業時までに習得されるべき、薬剤師として求められる10の基本的な資質を明示し、これを身につけるための学習成果基盤型教育が柱となっています。改訂版に沿った教育は平成27年4月入学の6年制薬学第10期生から始まっています。実務実習は薬学臨床として平成31年度から開始されます。内容も大きく変わり、病院実習と薬局実習を区別せずに、大学が主導し、一人一人の学生に合った実習を薬局と病院と連携して計画し実施します。実習の評価も従来の絶対評価ではなく、ルーブリック法を用いた評価が主となります。
これらの実習指導と評価については従来のワークショップでは対応できないため、薬学教育者ワークショップ実施委員会が新しいシステムを作成しました。タスクフォースも育成し、新ワークショップを指導します。認定実務実習指導薬剤師は更新時に座学講習を受けて新しい指導法を学びます。その他の指導薬剤師には都合に合わせて受講できるプログラムが半日コースまたは1日コースのアドバンストワークショップとして展開され、できるだけ多くの指導薬剤師が新しい実務実習に対応できるように準備しています。20,000人を超える実務実習指導薬剤師自身も学生と一緒の共育で新しい薬学教育を身につけることができるわけです。