2017年4月
理事長 豊島 聰
毎年4月になるとフレッシュな薬剤師が社会に登場してきます。彼らは医療の現場で社会貢献していくことを目標に、これから従事する薬剤師業務へ期待とやる気に満ちていることと思います。とは言いながら、薬剤師の実務は、大学で学習してきたことどおりに行ってできるものではありません。先輩薬剤師の指導に従うことと目的意識を持って薬剤師職能を高めるための学習を行うことが必須です。
近年、薬局薬剤師は健康サポート薬局、かかりつけ薬局において地域住民の健康と福祉に貢献する存在となることが求められるようになりました。かかりつけ薬剤師となるためには、一定期間の実務経験、研修認定を取得することなどの要件があります。新人薬剤師はこの一定期間の間にかかりつけ薬剤師となるための学習(自己研鑽)を行わねばなりません。実務経験の中で、学ぶことに加え、地域の特性に即した健康サポート薬局、かかりつけ薬局で求められる職能を磨くための自己研鑽が必要となります。自己研鑽すべき研修項目は自己診断により決めていかねばなりませんが、この項目を一から考えることはなかなか難しいことです。自己診断項目の選定には、たとえば当研修センターホームページの「薬剤師生涯研修の指標項目(自己診断用)」を利用することが考えられます。この自己診断表にある個別の項目に必要度(1~10)と充足度(0~5)を記入し、その差の大きい項目について重点的に学習し職能を向上させることに利用します。自己診断に加え、新人薬剤師が自己研鑽を積み健康サポート薬局、かかりつけ薬局の薬剤師として育つためには、先輩薬剤師の理解と指導も重要です。
なお、病院薬剤師にあってもその薬剤師職能を向上させるためには、学習成果の診断が必要です。また、薬剤師職能向上のために自己診断に基づく自己研鑽が必要なことは、新人薬剤師のみではなく、ベテラン薬剤師を含むあらゆる職域の薬剤師に共通なことも言うまでもありません。