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薬剤師研修支援システム

日本生薬学会創立70周年を迎えて 

2017年7月
一般社団法人 日本生薬学会会長 石橋正己 

 

 日本生薬学会は,生薬学の進歩を通じてわが国の学術文化の発展に寄与することを主な目的として昭和22(1947)年に創立されました.今年(平成29年)で創立70周年となります.平成25年度からは一般社団法人として活動しています.

  本学会の主な活動としては,年会を始めとする学会や各支部での例会,講演会等の開催,学会誌の刊行などが挙げられます.現在の会員数は正会員,学生会員,団体会員等合わせて約1300名であり,約20名の理事と約60名の代議員によって運営されています.毎年9月には年会が開催され,今年は第64回年会が千葉県船橋市の東邦大学で行われます.この年会参加者は昨年(富山会場)767名であり,会員の半分以上が一堂に会して生薬学に関する活発な議論が展開されます.学会会員数も生薬学会参加者数も昨年は大幅に増加しました.学会誌として刊行しているJournal of Natural Medicines誌についても編集委員会の努力で最近とくに順調であり,科研費の研究成果公開促進費を獲得しスプリンガー社との提携を通じて論文の数および質ともに着実に上昇させています.いわゆるインパクトファクターも毎年増加しており,海外からの投稿論文も多く,生薬・天然物化学分野の国際的ジャーナルの一つとして位置づけられるようになりました.

  生薬学は天然資源を薬という観点から捉えた総合的な学問ですが,昨今の漢方薬・生薬を取り巻く世の中の状況の変化は著しく,また,平成25年度に薬学教育モデルコアカリキュラムも改訂されたことに伴い,生薬学に関する教科書も日本生薬学会監修により昨年新しく刊行されました.日本薬剤師研修センターと日本生薬学会との共同で実施されている漢方薬・生薬認定薬剤師制度は今年で18年目を迎え,延べ認定者数は5400名を超え,4回目,5回目の更新をされた方も多く,本制度は活発にまた着実に発展してきております.

  このように現在日本生薬学会の活動は,現在,概ね順調に進んでいます.今後もこのよい流れを断つことなく,さらに継続して発展することにより,様々な社会的要請に応えていくことを願っています.