2017年11月
JPEC 特別顧問
一般社団法人日本女性薬剤師会会長
近 藤 芳 子
2012年に、日本女性薬剤師会は生涯学習研修施設G16として認証を受け、女性の視点からの健康課題を骨子とした特徴的な生涯学習事業に努めると同時に、薬学教育との関連も模索してきました。薬剤師の本来的な任務は、安全な薬の使用(医療安全)が基本であり、そのためには、薬物学の基本を踏まえた人材の育成が必要であります。
現任薬剤師に六年制課程薬学教育の内容を補填することは、もとより必要な事ではありますが、既に病院、薬局等で業務の経験を積んだ薬剤師に、どのようなカリキュラムで職能の向上を図るかは、生涯学習研修施設の各々に課せられた課題であると考えます。同時に、育成された認定薬剤師が一定のレベルを保持しているか否かは、むしろ各施設が責任を持って透明性の伴った研修成果の評価を行うことが求められるのではないでしょうか。
本来学習の達成度の評価として行われるべき試験は、試験自体が学習成果を積み重ねる意味を持つものであって欲しいと考えます。日本女性薬剤師会では、学習成果の評価試験での受講生の回答に関しては、フィード・バックを個々の受講生に行っています。
2019年には、新コアカリキュラムによる薬学部5年生の実習が薬局の実習から開始され、実習指導者としての薬局薬剤師の資質の向上が、是非とも必要な段階となりました。
薬局利用者の健康状態を、利用者との会話を通して薬剤師の視点から客観的に分析し投薬に繋げ、その影響を観察し、評価する根底には、基礎学力と共に、考える力、研究的能力も求められます。薬学の基礎である有機化学の知識の再確認は、薬剤の選択や食品との関連を考慮する上で大切であると考えています。
薬局の役割が拡大するにつれ、薬局における薬学的エビデンスが重要になると思われ、日常の薬局業務の中で、研究的な思考を持って実証を積む能力も育成する必要があります。
既にJPECは実務実習指導者を育成しており、多くの指導者が誕生しておりますが、更に教育や学習指導、研究などに関して学ぶ希望がある薬剤師には、学・薬・薬連携による社会人入学の推進等を行い、大学教育の中で勉強する機会を設けることも必要でしょう。
JPECの特別顧問として、そして生涯学習研修施設G16を運営する者として、より良い薬物療法を患者に提供できる薬剤師の育成ができる生涯学習研修を望んでいます。