2018年4月
理事長 豊島 聰
最近、時間がたつのが早いと特に感じるようになりました。歳のせいとは思いますが、いつ頃から、そのように感じるようになったのか考えてみました。かなり以前から、時間がたつのが早い(あるいは時間が足りない)と感じていたように思います。私は、大学院修了後は長らく大学で、教育と研究に携わってきました。今思えばこの頃、時間がたつのが早い(研究時間が不足している)と感じていたように思いますが、結果はともかく研究が一段落したときには、時間がたつのが早かったかどうかについて考えることはなかったように思います。大学を辞め医薬品・医療機器の審査に携わるようになってからは、常に時間に追われておりましたが、このとき時間がたつのが早いとは感じませんでした。ただ、ルーチンワークに追われているときには時間が足りないと不平を口にしていた記憶があります。どうも、目的意識をもって仕事を行っていると時間のたつのを忘れるようで、後には、充実感が残ったように思います。
近年、薬剤師は、社会的に注目される存在となり、これまで以上に職能を生かして社会貢献していくことを求められてきています。しかし、地域包括ケアシステムにおいて医療チームの一員として十分貢献していくためには、多忙な日常業務に加え、さらなる職能向上に向けた研修受講等で時間が足りないと感じている薬剤師が多いのではないでしょうか。確かに時間が足りないと感じるかもしれませんが、目的意識がしっかりしていれば、後で、充実感を味わうことができます。あれもやりたかったこれもやっておけばよかったと後悔しないためには、どのような薬剤師となりたいか目標を立てて、職能を高め実務に励むことが重要ではないでしょうか。
一方、歳をとり、時間がたつのが早いと感じるのは、自分に残された時間が短いと感じることに由来すると思われます。しかし、昨年亡くなられた聖路加国際病院の日野原先生は、亡くなられるまで医師として医療へ貢献されており、時間を超越されていたように思われました。日野原先生のように目的意識をもってこれまで続けてきた仕事を継続していくことは通常困難ですが、医師免許同様薬剤師免許も、生涯有効であることから、薬剤師も日野原先生のように生涯社会貢献していくことは可能と思われますので、私自身を励ましていこうと考えています。