2019年1月
理事長 豊島 聰
昨年は、猛暑に加え自然の猛威にさらされた1年でした。特に、7月の西日本豪雨による水害、9月の震度7の北海道地震、さらに9月には、このレベルの大型台風が日本に年2回上陸したのは、上陸時の風速を計測し始めた1991年以降初めてのことであるという大型台風21、24号の日本列島直撃がありました。これらの災害は、多くの被害を生じました。自然災害に見舞われた地域の方々には、お見舞い申し上げるとともに、本年はこのような自然の猛威にさらされることのない穏やかな1年であることを祈ります。しかし、地球温暖化の進行もあり、これからも猛暑はさけられないと考えられます。また、東南海地震等の大地震が近々に起こる可能性も示唆されており、たとえ今年平穏であっても自然災害に対する備えをしておくことは必須となっています。備えは単に自分だけに限らず地域住民との連携について考えておくことが自分を守るためにも必要と考えられます。いずれにしましても、緊急時に自分の経験などを活かした対応ができるように備えておくことが肝要です。
ところで、近年薬剤師は地域包括ケアに関わる医療チームの一員として、職能を果たしていくことが期待されていますが、災害時にも、くすりの専門家として地域住民の健康保持に重要な役割を担っていると思います。東日本大震災の時には、災害現場で薬剤師の働く様子がマスコミに取り上げられたことがありました。昨年の災害時には特に目立ったマスコミ報道はありませんでしたが、定着した形で薬剤師職能を活かした働きがあったと推察されます。災害時に薬剤師がその職能を十分に活かした働きをするためには、常に自己研鑽にはげみ、どのような状況にも対応できる心構えと能力を養って、備えておくことが必要です。薬剤師の皆さんにはその職能を活かした地域住民の健康と福祉への貢献が期待されていることを考えていて頂きたいと思います。
年頭の挨拶であるにもかかわらず、華やいだお話しにはなりませんでしたが、「備えあれば憂い無し」で何もなければそれはそれでよかったということでお許し願います。