2019年3月
専務理事 浦山隆雄
試験は薬学部のみのものではないが、学業修了後に国家試験があることは、医療系ならではのことであろう。40年近くも前のことであるが、卒業式を前にして大学構内を歩いていると、暇そうにしている他学部の友人に会ったことを思い出す。こちらは薬剤師国家試験の受験勉強がなかなか進まず、気持ちが落ち着かないのにである。その頃の薬剤師国家試験の試験日は4月初めであったが、2月末が卒業研究の発表で、簡略とはいえその結果をまとめて卒業論文として提出しなければならないし、その年はなぜか所属講座の年度末行事が多かった。過去問集を3回繰り返せば薬剤師国家試験に合格するという先生がいたが、私は0.9回しかできなかった。ただ、例年より少し合格率が高く、その分問題が易しかったのだろう。合格はできた。
私が受験した薬剤師国家試験の解答用紙はマークシートであった。その前年に始まった大学入試センターの共通第一次学力試験がマークシート方式だったので、普及してきた頃だったのだろう。薬学部の定期試験はもちろん普通の紙に回答欄が印刷されているだけであったが、国家公務員試験もマークシートだった。私が初めてマークシートで試験を受けたのは、大学4年生の5月にあったこの公務員試験であった。このときは、初めてのマークシートに多少戸惑った記憶がある。
平成28年に始まった薬剤師生涯学習達成度確認試験の解答用紙もマークシートである。午前と午後それぞれ1枚で、1人当たり2枚使用する。
薬剤師生涯学習達成度確認試験は、薬学関係5団体(日本医療薬学会、日本病院薬剤師会、日本薬学会、日本薬剤師会及び当財団)が共同で運営して通例7月に実施しており、今夏は4回目となる。生涯学習は自己評価を行いながらさらに必要な学習に取り組むものであるが、節目節目では外部評価も有用である。この試験は、自己の生涯学習の状況について客観的な評価を受けてみたいと考える薬剤師にふさわしいものと考えている。この試験に合格することは、薬剤師として、自己研鑽を行っていることに加え、一定の経験と知識を有していることを認められたものといえるであろう。
学生であることを終えたのだから、試験から解放されたいという思いは理解できる。しかし、社会による評価とともに試験による評価も、薬剤師という職能を果たしていく上で有益ではないだろうか。ある程度の経験を積んだ若手の薬剤師にぜひ受験してもらいたいと思っている。