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薬剤師研修支援システム

 患者さんとともに副作用の第一発見者になる! 

2019年5月
一般社団法人 くすりの適正使用協議会理事長 俵木登美子

 

radar  くすりの適正使用協議会は、今年、設立30周年を迎えます。「くすりのしおり®」を提供しているところといえば、思い出してもらえるでしょうか?当協議会では、「くすりのしおり®」の他、医薬品の適正使用に関する啓発資材も作成しており、今年2月に新たに資材を作成しましたので右のQRコードから是非一度ご覧下さい。

 「くすりのしおり®」は、医療者と患者さんとの医薬品適正使用に資するコミュニケーションツールとして作成され、Web提供しているものですが、最近はアクセス件数が月平均で1000万回を超え、患者・一般の皆さんが直接閲覧するケースが増えています。患者さんは医薬品の情報をほしがっているのです。

 ひと昔前には、患者さんは診断名はもちろん、処方された医薬品の名前など知らされず、PTP包装の薬剤名部分を切り取って調剤されている状態でした。現在では患者さんは薬剤情報提供書により処方内容を知り、ネットで医薬品の情報を簡単に入手することができるようになりました。

 医薬品の適正使用のために患者さんにはどのような情報を知っておいてほしいでしょうか?もちろん副作用を起こさないための情報も必要ですが、副作用が起こってしまった時に患者さんにその第一発見者になってもらえるよう、そのための情報を知っておいてもらうことが重要です。薬剤師は調剤時の服薬指導を通じて、患者さん一人ひとりに応じて必要な情報をわかりやすく提供し、その後のフォローアップで患者さんの状態の変化について医薬品の影響かもしれないという目で常にチェックしていくことが求められます。患者さんが副作用の第一発見者になるためには薬剤師の力が必要です。医療・医薬品情報が溢れている時代だからこそ、薬剤師が患者さん一人ひとりに合った適正使用情報を提供していくことの価値が高いのです。そのためには副作用を見逃さない知識と経験を持たなければなりません。また、一人ひとりの患者さんに寄り添うために、地域の医療・介護関係者との情報交換や連携が必要です。

 超高齢社会を迎えた日本では、かかりつけ薬剤師制度導入、ポリファーマシー問題、地域包括ケア推進など、薬剤師に期待されることがどんどん増えています。これらの期待に応えていくために研修センターでは多くの研修を提供されています。当協議会も研修センターとの連携を深め、薬剤師の対人業務の質の向上に少しでもお役に立てるよう努めていきたいと考えています。