2019年6月
和歌山県立医科大学 教授
薬学実務実習に関する連絡会議 議長 太田 茂
薬学の教育課程に6年制が導入されて既に10年以上経過し、薬学教育モデルコアカリキュラムに準拠した教育も定着してきたように思います。また平成27年には改訂されたモデルコアカリキュラムが実施され、本年度は改定されたコアカリに準拠した初の実務実習の実施となります。薬学教育の中における実務実習の位置付けとしては、基礎系科目、専門科目で習得した知識を実習施設という現実の課題に直面した場面で実践に繋げるものであり、薬剤師養成教育の根幹をなす重要なものであると思います。この実務実習が円滑に行われるために、文部科学省は「薬学実務実習に関する連絡会議」を立ち上げました。メンバーとしては国公立薬学部長会議、私立薬科大学協会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、薬学教育協議会、薬学会、大学関係者からなっており、改訂コアカリに基づく実務実習の在り方、実務実習実施に向けた準備状況、実務実習に関するガイドラインの検証と改訂などを議論しています。特に今回の改訂では主要な8疾患(がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症)を設定し、これらの疾患に関して薬局、病院のどちらかで関わることとしております。学生にとって主要な疾患の薬物治療を経験することは大変重要なことですのでご協力のほど宜しくお願い致します。また従来は実務実習を年間3期で行ってきましたが、薬局での実習と病院での実習の間隔が空き過ぎ、実習の効率が良くないとのことから本年度から年間4期に変更することになりました。これらのことが円滑に達成されるためには薬局と病院との連携について大学が主体的に関与することが必要となりますので、大学には臨床準備教育の更なる徹底と伴に実習施設間の連携についても特にお願いしているところです。
昨年度は実習施設のご協力を仰ぎ改訂コアカリに準拠した実習を先行導入させて頂き、概ね順調に実施できるという感触を得ております。今年度からスタートする改訂コアカリに準拠した実習につきましても引き続き本誌読者の皆様方のご理解とご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。