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薬剤師研修支援システム

 明確な目的意識を持った研修と学んだことの積極的な実践を 

2019年10月

厚生労働省保険局医療課 薬剤管理官 田宮 憲一

 

 私が巻頭言を寄稿するのは2015年2月以来、4年ぶりです。前回は規制改革会議の公開ディスカッションが行われる直前で、医薬分業に対するバッシングが激しくなり始める頃でした。当時私は、自己研鑽に励む薬剤師数の減少を懸念し、薬剤師のモチベーションを維持する方策として統一的基準による研修認定資格の見える化と標準化(現在の「薬剤師生涯学習達成度確認試験」)を提案するとともに、本欄をご覧になっている皆さんに、周りの後輩薬剤師に自己研鑽の輪を広げていただきたい旨お願いした記憶があります。

  その後、2015年10月の「患者のための薬局ビジョン」の公表、2016年4月の健康サポート薬局制度の施行や調剤報酬改定による「かかりつけ薬剤師指導料」等の創設などにより、健康サポート薬局研修修了薬剤師や研修認定薬剤師の配置が義務付けられ、動機はともあれ、自己研鑽に取り組む薬剤師が増えたことは良かったと思っています。

  しかしながら、医薬分業については、未だに「患者にとってのメリットが感じられない」とか「患者の負担に見合ったものになっていない」といった厳しい指摘が続いています。その一つの原因は、患者や来局者が信頼し、いつでも気軽に相談したくなるようなサービスを提供している薬局薬剤師がまだまだ少ない、ということにあると考えています。そのため、患者から頼られるかかりつけ薬剤師を増やしていくことが喫緊の課題であり、日々の業務において、調剤後のフォローアップやそれに基づく処方提案を始め来局者のニーズを先取りした対応(積極的なアウトプット)を実践するとともに、それを意識した継続的な研修(インプット)に取り組む薬剤師の育成が重要になると思います。

  例えば、地域において糖尿病の専門医がいるクリニックがあり、当該クリニックの処方箋を多く受けているのであれば、糖尿病に関する最新の薬物療法だけでなく多職種による療養や重症化予防の実践についても詳しく学ぶなど、目的意識を持って研修に取り組む必要があるのではないでしょうか。

  また、研修を提供する側にも、かかりつけ薬剤師としての資質向上に資するような実践的なプログラムの企画をお願いしたいと思います。

  研修認定薬剤師など自己研鑽に励む薬剤師が増えてきた今、受講する研修の内容とその実践力が問われています。単に座学の講義を受講して認定薬剤師を更新していけばよいというマインドではなく、自分が取り組むべき研修を吟味し、学んだことを積極的に実践していく薬剤師が増えることを期待しています。