2020年1月
理事長 豊島 聰
昨年1月の巻頭言に「本年は自然の猛威にさらされることのない穏やかな1年であることを祈ります。」と書きました。しかし、残念ながら昨年秋には大型台風の連続的な襲来による風水害により大きな被害が出ました。大規模な自然災害に見舞われることは昔からありましたが、これまで人間は協力し合いながら乗り越えてきています。昨年の災害でも多くのボランティアの人たちの協力が復興の大きな力となっています。これからも人間は協力して災害を乗り越える前向きな姿勢でありたいと思います。
ところで、令和の時代を迎え、日本は新しい変化に対応すべき時代にはいりました。薬剤師を取り巻く環境もさらに変遷を遂げていくことと思われますが、いつの時代になっても生涯学習に励み薬剤師としての職能を付けておくことが肝要です。
薬剤師として十分な能力を養い、職能を果たして行くためには、自ら学習するべき内容を選択し、学習した内容を整理確認することにより学習成果を向上させるための自己診断が必須です。日本薬剤師研修センターでは、2019年4月から研修認定薬剤師制度の研修認定の申請時に、「生涯学習自己診断表(薬剤師生涯研修の指標項目)」の提出を義務付けました。細かい分析はこれからですが、薬剤師の多くが薬局、病院、製薬企業等の勤務先により、あるいは勤務先の所在地によって、必要性の高い学習項目、その達成度を的確に判断していることがうかがえました。これから、第一線で活動している薬剤師が、どの分野の学習が足りていないと感じているのか、そうしたことを抽出していき、そのうえで、学習が足りない分野について、薬剤師研修センターのe-ラーニングを充実させることや都道府県薬剤師研修協議会にその分野の研修を依頼することなど、細かいフィードバックをしていきたいと思っています。
薬剤師は、薬剤師という職能が、医療や地域住民に本当に必要だと認識されることこそが、重要と思います。このためには、個々の薬剤師は自分で考えて職能をアップしていくことが肝要です。全薬剤師の生涯学習支援は薬剤師研修センター設立の目的です。新年にあたりその支援の充実に向けて薬剤師研修センターはこれからも努力することを確認いたします。