2020年2月
独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長 藤原 康弘
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、「健康被害救済」、「承認審査」及び「安全対策」の3つの業務を柱とし、開発段階から市販後にわたって、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保に関する業務に携わっています。
私は、2019年4月にPMDAの理事長に就任した際、「患者満足度の向上」を念頭に置いて業務に取り組むことを宣言しました。
医薬品等の承認審査にあたっては、有効性や安全性を100%確認するには膨大な時間が必要となる一方で、この医薬品等を待つ患者さんをいかに意識して業務を進められるかが重要と考えています。また、“Cutting Edge(最先端)”な医薬品等が次々と出てくる中で、安全性確保に重点を置くことがこれまで以上に求められており、薬剤師の皆さんをはじめとする医療関係者に、いかに正確な情報を迅速に伝えるかが鍵になります。加えて、医薬品等の製造が国境を跨いで行われる今日、日本のみならずアジアを意識することは、日本を最先端製品の開発の場として選んでもらうためにも、また、医薬品等の品質を確保する上でも、患者満足度の向上につながる重要な視点であると考えています。
そして「患者満足度の向上」と医薬品等の適正使用の実現は、まさに表裏一体であり、日々、第一線の現場で奮闘されている薬剤師の皆さんを積極的にサポートしていきたいと考えています。
PMDAウェブサイトには、添付文書、RMP、審査報告書、患者向医薬品ガイド等、医薬品等の有効性、安全性に関する情報が満載されており、また、「PMDAメディナビ」に登録いただければ、日々、最新の情報が皆さんの手元に届きます。是非、それらを使いこなし医療の質の向上に積極的に貢献していただきたいと思います。また、医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用被害については、PMDAが運用している「医薬品副作用被害救済制度」があります。皆さんには是非救済制度について理解を深めて患者さんの救済制度利用への橋渡しになっていただきたいと考えています。
薬剤師の皆さんと我々PMDAは、「患者満足度の向上」を目指して取り組む、“同志”だと思っており、今後もお互いにタッグを組んで、汗をかいていければと思います。