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薬剤師研修支援システム

薬剤師とグローバル社会 

2020年4月

理事長 豊島 聰

 

  今年の東京は、冬らしい寒さの期間が短かく、寒さが苦手なものにとっては、大変ありがたく感じられました。この暖冬のおかげか、今冬はインフルエンザ流行の報道が聞こえてきませんでしたが、新型コロナウイルスによる肺炎が世の中を揺るがせました。このウイルスの感染力は、予想外に強いとともに症状の出ていない患者からも感染がおこることから日本でもかなり急速な感染の拡大が見られ、不特定多数の人が集まる会合が自粛あるいは中止されました。また、マスクの着用やアルコールによる手指等の消毒の重要性が認識され、これらの品不足状態が生じました。

  このような状況下、厚生労働省より「新型コロナウイルス感染症対応のための薬剤師の派遣」について協力依頼があり、日本薬剤師会は、東京都及び神奈川県の薬剤師会に薬剤師の派遣を要請し、支援・協力を行い、この要請に応えました。

  本年は、新型コロナウイルス感染の拡大とオリンピックの延期から海外からのお客さんが激減しています。しかし、新型コロナウイルス感染の拡大が終息すれば、再度海外から多くのお客さんが来日されるようになると考えられます。来日されたお客さんの中には慣れない環境にさらされることにより健康不安に陥る方がでることが予想されます。また、外国から、日本人にとっては未知の感染症がもたらされる可能性も予想されます。その場合、健康不安が生じた人は病院での受診に先立ち身近に存在する薬局に相談することも考えられます。このときに薬局の薬剤師には的確なアドバイスができるように今から心がけていてほしいと思います。免許を取得してまだ年月のたっていない新人薬剤師にも、大学で基礎的な力は養ってきているはずですので、意識を持って日々の業務行い、また研修等の受講により、対応できる力を磨いて、早く大学での学習成果を実践の中で活かせるようになってほしいと思います。

  さらに、医療現場の薬剤師に限らず、私のように薬剤師免許を有するが臨床経験の無い薬剤師も医療の一翼を担う存在であることを自覚して、健康不安の状態にある人を見たら相談にのってあげられるような存在になれればよいと思います。