2020年10月
厚生労働省大臣官房審議官(医薬担当) 山本 史
本年1月に厚生労働省大臣官房審議官(医薬担当)を拝命しました山本史です。
着任直後から、新型コロナウイルス感染症というこれまでにない事態に直面しています。薬剤師の皆様におかれましては、医療現場の最前線で感染拡大防止に取り組みながら、患者に必要な薬物治療を提供し続けているほか、地域住民に対して手洗いや消毒剤の使用方法など感染症対策の相談等にも応じていることに対して感謝申し上げます。
このような未曾有の事態への対応のほか、近年の新薬の開発や医療技術の進歩等に伴い医療を取り巻く環境が日々変化していく中で、薬剤師として安全で有効な薬物療法を提供するためには、このような変化に臨機応変に対応できるよう自己研鑽に取り組むことが必要です。
令和元年12月に公布された改正医薬品医療機器等法では、優れた医薬品をより安全・迅速に医療現場に提供するための承認審査制度等を改善するとともに、住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるようにするための薬剤師・薬局の機能の強化を行いました。
このような改正により、画期的な医薬品や医療上の必要性が高い医薬品が速やかに医療現場で用いられるようになることが期待されますが、どんなに優れた医薬品でも、それぞれの患者に合わせて使われなければ十分な効果は発揮できません。つまり、日々患者に向き合って業務を行う薬剤師の役割が非常に重要になるということを意味しています。法改正により、本年9月から薬剤師が調剤時に限らず必要に応じ、患者に対して服薬状況の把握や継続的な服薬指導を行うことや、一定の条件下でオンライン服薬指導が可能になりましたが、薬剤師は個々の患者の状況に応じた対応が求められます。
今回の法改正で制度的な枠組みの整備が進みますが、重要なのは、このような改正をきっかけにどのように取り組んでいくかであり、現場の薬剤師の皆様方の努力が不可欠です。そのためには現場での経験のほかに、先ほど申し上げたような自己研鑽により、情報をアップデートしていくことが必要です。
このような薬剤師であれば、患者や地域住民に寄り添った対応が可能となり、信頼される薬剤師になっていくものと期待します。令和の時代の薬剤師の姿を皆さんで作っていきましょう。