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薬剤師研修支援システム

新たな時代の薬剤師へ 

2021年1月

理事長 豊島 聰

 

 昨年、新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界的な健康不安と経済活動の低下を生じさせましたが、令和元年に86万5,239人と90万人を切った出生数を、更に減少させるとも予測されています。

  ところで、近年薬剤師国家試験合格者数は、9千人を超えており、出生数の1%以上の薬剤師が誕生するようになりました。平成30年度の薬剤師需給予測調査では、今後数年間は需要と供給が均衡するが、長期的には供給過剰になるとなっています。現在、薬局における主な業務は調剤ですが、調剤に於ける対物業務については機械化が進んできており、薬剤師の需要が減少していくと考えられています。地方ではまだまだ病院、薬局とも薬剤師が不足しているところがありますし、病気の予防や健康需要の延伸に向けた業務の充実等については、薬剤師の需要は高まると考えられます。しかし、全体としての需要減少は避けられないと思われます。

  薬剤師は、主に薬局、医療施設(病院及び診療所)、大学、医薬品関係企業、衛生行政機関又は保健衛生施設で業務に従事しています。平成30年度の統計によると届け出薬剤師数は、311,289人ですが、そのうち薬局薬剤師は180,415人、医療施設従事者は59,956人、大学は5,263人、医薬品関係企業は41,303人、衛生行政機関又は保健衛生施設の従事者6,661人となっています。全薬剤師の半数以上を占める薬局薬剤師(前年度比4.3%増)に加え、医療施設従事者(同3.3%増)、大学(同4.1%増)も前年度に比して増加しましたが、医薬品関係企業(1.7%減)、衛生行政機関又は保健衛生施設の従事者(2.3%減)は減少しています。

  前述のように調剤を主たる業務とする薬局薬剤師の需要減はさけられないところですので、医薬品関係企業、衛生行政機関又は保健衛生施設の従事者への薬剤師の回帰に加え、薬剤師の知識・職能を活かす場を広げていくことが必須と思われます。

  今年、薬剤師には、知識、能力を活かし活躍の場を広め、羽ばたく年になってほしいと思っています。