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薬剤師研修支援システム

不確実な未来への準備 

2021年2月

一般社団法人日本保険薬局協会  会長  首藤正一

 

  昨年5月に一般社団法人日本保険薬局協会の会長に就任しました首藤正一です。

  2019年末に中国で感染者が報告された新型コロナウイルス(COVID-19)は、日本、そして世界に瞬く間に拡大し、現在でも感染者が増え続けています。

  これにより世界中の経済活動は大きな制約を強いられており、保険薬局を含む医療機関でも、感染者の受け入れや外出自粛による受診抑制のため、直接的間接的に大きな経済的損失も被っています。その影響は計り知れません。

  このような中、薬剤師は、今後さらに加速するであろう環境の変化に対応していかなければなりません。

  コロナ禍により、今までの常識では考えられないスピードで変化が起きつつあります。身近なところでは、遠隔診療や遠隔服薬指導等が0410事務連絡により、時限的ですが簡易的に認められ周辺技術も急速に進歩しつつあります。資格取得に必要な研修等も、一部でリモートによるものが認められています。また、ヘルスケア分野での自動運転技術活用を目指したモビリティや、ドローンを使った処方薬の配送等の実証実験も行われています。 このように社会環境が予想不可能な中で、不確実な未来への準備として薬剤師は何をすべきか考えてみました。

  日本保険薬局協会では、2020年に「地域医療における継続的な薬学的管理イメージ」を作成し公開しました。医師の処方から始まり、疑義照会、服薬情報の一元管理、入退院時の連携、ポリファーマシーへの介入、そして服薬期間中フォローアップという一連の治療の流れの中で、これらの業務に薬局薬剤師が介入することで治療効果の最大化と医療費の抑制に貢献できると考えています。さらには、連携の取り方や情報共有にデジタルテクノロジーを積極的に活用することで、非接触による感染リスクの低減や、医療全体の生産性向上にも貢献できると考えます。

  今後私たちは、国家財政と医療財源の問題、地震や台風等に加えて新たな感染症という自然災害リスクを抱えながら、現在の医療環境を維持発展させていかなければなりません。 予測の難しい社会情勢ですが、業界団体として情報の収集と発信を心がけ、変化に柔軟に対応できる薬剤師の育成に貢献していきたいと考えています。