2021年9月
一般財団法人日本医薬情報センター 理事長 赤川治郎
いつの時代でも当事者は大変な思いをしているのかもしれませんが、今のこの時代に薬の担い手として業務を遂行している薬剤師ほど大変な思いをしている薬剤師はいまだかつていないのではないかと思います。
調剤業務については、非薬剤師の関与のほか、調剤ロボットの活用やAIによる薬剤情報の提供もされている中で、薬剤師業務範囲の規制緩和の観点からの見直しにより、直接関与し、または管理し責任を負うべき業務とは何かを問われる一方で、コロナ禍において予防接種の緊急避難的な注射行為への関与問題が俄かに浮上しています。薬学的指導については、医療・介護チームにおける患者に関する情報共有が必要とされる中での薬剤情報の直接対面または遠隔による患者とのコミュニケーションへの対応が求められます。
薬剤情報については、電子化された添付文書によりリアルタイムに入手される情報に基づき業務を行うことが求められるとともに、添付文書情報以外の医薬品の品質に係る回収等の情報ついても即時に適切に対応することが求められるほか、同一成分内のジェネリック医薬品の調剤のみならず、同一薬効群内の薬価も含めたより適切な薬剤の選択に資する、いわゆるフォーミュラリーについても、医療機関内、あるいは一定地域内でのコンセンサスも経て、作成・活用を検討することが求められています。
薬局の機能については、薬学的な管理・指導を適切に実施する環境を整え、かかりつけ薬局の機能を法律上明確化し患者選択に資するよう、地域連携薬局および専門医療機関連携薬局の認定制度が創設され、これらにより整備される薬局の機能の中で薬剤師も対応していく必要があります。
こうした、まさに多様な対応を求められる中で、累次改正される制度を知り、常に確かな情報に基づき自己の薬学的知識を向上させ、実務に活かしていくためには、薬剤師として現役を続ける限り「研修」を受けることは必須であり、「頑張れ、薬剤師!」です。そういう意味において、日本薬剤師研修センターの提供する研修の一層の発展を期待するものです。
最後に、私ども日本医薬情報センターでは医薬品情報の収集・提供を通じて、薬剤師の皆様への業務にも少しでもお役に立てるよう努めてまいりたいと存じます。