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薬剤師研修支援システム

生涯研修の成果を如何に評価するか:ポートフォリオの活用 

2024年5月

公益社団法人薬剤師認定制度認証機構  代表理事 安原眞人

 

 薬剤師認定制度認証機構(CPC)は、薬剤師に対する各種の生涯学習と認定制度の第三者評価機関です。薬剤師に関する認定制度の整備、発展、普及を図ることにより、生涯学習を推進し薬剤師の資質及び専門性の向上に寄与し、国民の健康確保に貢献することを目指して平成16年に設立され、今年で20年目を迎えます。CPCにより認証された生涯研修認定制度の第1号が日本薬剤師研修センター(JPEC)の研修認定薬剤師制度(G01)であり、CPCの認証を受けた制度の中でJPECの認定薬剤師が最も多数を占めています。

 JPEC理事長から初代CPC代表理事を務めた内山充博士は、「専門職としての薬剤師の社会的責任」と題するコラムで、「医療職としての薬剤師は、患者への奉仕を最優先とする資質と心構えを自ら養うことによって、より良い医療環境を作り出すのが社会に対する基本的約束である。それに必要な知識と経験が育つには、免許取得後の継続した学習が必須である。今や「学ぶことは働くことと同じ」という時代となった」と指摘されています。令和6年度の薬学部入学生から適用される薬学モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)では、薬剤師として求められる基本的な資質・能力(10項目)について、生涯にわたって研鑽していくことが求められることとなりました。

 医療機関や地域におけるチーム医療で薬剤師の果たす役割が拡大する中で、薬剤師の生涯研修の質が問われ、研修の成果を如何に評価するかが重要な課題となっています。CPCでは、CPCが認証した生涯研修制度のフォローアップ調査を行っています。令和5年度の調査で、研修会受講者の到達度をどのように評価しているか尋ねたところ(複数選択可)、アンケートによる評価が68%、レポートによる評価が47%、試験が29%でした。

  生涯研修プログラムを履修した成果の評価には、教育現場で導入が進むポートフォリオの利用も有効と考えられます。個人のキャリア目標や学習目標を明確に設定し、目標達成のための学習計画を作成し、学習活動やプロジェクト、研修などから得られる成果物や証明書、評価レポートなどの証拠を収集します。学習過程や達成した成果を反省・自己評価し、指導者や同僚からのフィードバックを積極的に求めて自己評価に反映します。ポートフォリオの評価にあたっては、評価基準を明確に設定することと、一度きりではなく、継続的に評価を更新していくことが重要です。ポートフォリオを活用した継続的な自己評価と客観的なフィードバックは、より効果的な学習と専門性の向上につながるものと期待されます。