2024年6月
一般社団法人日本生薬学会 会長 塚本 佐知子
この数年、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため学会活動がオンラインで行われてきましたが、令和5年9月9、10日に日本生薬学会第69回年会が東北医科薬科大学で開催されました。久しぶりの対面での生薬学会ということで私も新鮮な気持ちで参加いたしましたが、今後、学会活動も含めさまざまな社会活動が活発になっていくものと期待しております。
社会の変革が激しい昨今、薬剤師も社会の新しいニーズに対応していくことが求められています。そして、超高齢化時代を迎えるわが国では、地域包括ケアにおいてセルフメディケーションが重要な要素とされていますので、今後適切なセルフメディケーションの実施という点においても薬剤師の活躍が期待されると考えられます。また、医療現場においては漢方薬の利用が増加していますので、薬剤師として漢方に関する専門的知識を有していることは極めて重要といえます。薬剤師の皆様には、多成分から成る生薬の組み合わせである漢方薬を正しく理解し適切に使用していただきたいと願っています。
日本生薬学会は、平成12(2000)年に薬剤師研修センターと共同で「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」を開始しましたが、本制度では漢方薬・生薬に関する専門的知識を修得し、能力と適性を備えた薬剤師を養成することを目的としています。2024年3月までの延べ認定者数は8,537名に達し、2024年3月末時点の有効認定者数は3,299名となっています。日本生薬学会では、薬剤師として必要な知識を身につけた「漢方薬・生薬認定薬剤師」を養成するため、今後も研修プログラムを充実させていく所存でございます。研修を通して、漢方薬を用いた治療の現場で医師と対等に向き合えるよう、そして患者様に自信を持って漢方薬・生薬に関する情報を提供できるよう、漢方薬に関する専門知識を身につけていただきたいと願っております。今後も多くの方々に「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」を活用していただければ幸いです。