戻る

薬剤師研修支援システム

薬剤師と生涯研鑽 

2024年8月

厚生労働省 医薬局総務課  薬事企画官 大原 拓

 

 本年4月から現職を拝命し、薬剤師関連の施策を担当していますが、薬剤師を取り巻く各種環境は大きな変化を続けていることを実感しています。

 少子高齢化が急速に進む中、医療においても高度化・多様化が進んでおり、在宅医療をはじめとし、地域の中で患者さんに寄り添っていくことや他職種との連携も求められているほか、オンライン資格確認や電子処方箋など医療DXも進んでいます。また、薬局等における日々の業務の中でも薬歴管理等を支援する各種のデジタルツールの普及・活用も進んでいるかと思います。

 こうした医療DXの進展やデジタル技術の活用により、様々な患者情報が把握できるようになりますが、これは医療の効率化や質の向上の観点からも非常に画期的なことです。

 また、情報の入手という点では、薬剤師が様々な情報へのアクセスが可能ともなっている一方で、患者さん自身も医療情報を得やすい環境になっています。しかしながら、得られる情報が同様だったとしても、個々の患者さんから得た情報や自身の薬学的知識と組み合わせ、その患者さんにはどういった対応をとるか、という点を分析し実践していくことが重要です。そのためには、情報を使いこなすための日々の研鑽が不可欠です。

 例えば、薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針(医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験制度改善検討部会)において、「薬剤師を取り巻く環境は常に変化しており、真に国民の期待に応え得る薬剤師として適切な医療を提供していくためには、卒後も生涯にわたって自己研鑽を続けていくことが重要である。」とされているほか、日本学術会議薬学委員会薬剤師職能とキャリアパス分科会の提言「持続可能な医療を担う薬剤師の職能と生涯研鑽」においても「社会が求める持続可能な医療を担う薬剤師は、薬剤師免許取得後の生涯研鑽によって培われる」とされていること、そして、直近の令和4年度に改訂された薬学教育モデル・コア・カリキュラムにおいても「生涯研鑽」という文言が各所にて言及されています。

 常に最新の薬学的知見をアップデートし、それを武器として、世代を問わず、現場で活躍していただくことが、薬剤師の真骨頂ではないかと考えています。生涯研鑽を通じて、絶えず変化する社会環境にも対応し、薬剤師の皆様が活躍していくことを期待しております。