2025年1月
公益財団法人日本薬剤師研修センター 理事長 矢守 隆夫
新年明けましておめでとうございます。この一年がみなさまにとってみのり多い年となりますよう祈念いたします。
さて、筆者はかつてPMDAに在籍しておりましたことから、本稿では、“PMDAとは?”についてお話しさせていただこうと思います。すでにご承知の方も多いとは存じますが、この機会にPMDAについておさらいしていただければ幸いです。
各国それぞれに医薬品規制当局があり、医薬品の製造や使用を規制しています。例えば、規制当局としてアメリカ合衆国にはFDA(医薬食品局)があり、EUにはEMA(欧州医薬品庁)があります。PMDAは、我が国の医薬品規制当局であり、厚生労働省と一体となって我が国の医薬品規制を担っています。PMDAの正式名称は独立行政法人医薬品医療機器総合機構です。英語名はPharmaceuticals and Medical Devices Agencyで、各語の頭文字をとってPMDAと称しています。2004年に霞ヶ関に設立され、現在1500人程の人員を擁しています。
PMDAの具体的役割は、大きく分けて①医薬品、医療機器、再生医療製品の承認審査、②市販後の安全対策、③健康被害の救済の3つが挙げられます。
まず①について、医薬品等の実用化には薬事承認、すなわち、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。この許可を得るためには、その医薬品候補が、有効性、安全性、品質の3つの要件を満たしている必要があります。申請者である製薬企業は、要件を満たしていることを示す承認申請書を提出して審査を受ける事となりますが、この審査を担当するのがPMDAです。②の市販後の安全対策とは、医薬品の宿命である副作用のリスクを最小化することですが、PMDAはそれを目標として、市販後における安全性情報の収集と提供、ならびに添付文書の改訂を行っています。③の健康被害の救済は、医薬品を正しく使用したにもかかわらず、副作用により重い健康被害が起こったり、障害が残ったりした場合、また死亡された場合に医療費や障害年金、遺族年金等の給付を行い、患者様やご遺族を救済するための公的制度です。PMDAは、健康被害を受けた方による申請内容が救済に該当するかどうかを審査する役割を担っています。このような救済制度は世界でも例を見ない貴重なものと言えます。以上、PMDAは、医薬品等の開発から市販後の安全対策・救済までを見守り、相談や行政措置を行い、リスクを最小化しベネフィットを最大化する努力をしています。薬剤師の皆さんにとって、日常接しておられる医薬品の裏にこのようなPMDAによる規制の仕組みがあること意識していただき、それが日常業務の一助となれば幸いです。