2025年2月
独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事(技監)
近藤 恵美子
医療の高度化・複雑化、ICT等の技術の発展等により、薬剤師を取り巻く環境が変化し、薬剤師に求められる役割が変化・多様化していることは、これまで繰り返し言われてきていることですが、私が薬剤師免許を取得した平成の初め頃と比較して、薬剤師の業務内容は比べものにならないくらい高度で忙しいものとなっていると、日々感じています。このような時代の変化に対応して、患者さんに信頼される薬剤師でいるために、生涯学習、自己研鑽は欠かせないものです。
日本薬剤師研修センターでは、そのための様々なプログラムが用意されています。PMDAも、業務や自己研鑽に有用な情報をたくさん提供しています。PMDAメディナビは、多くの薬局、医療機関において登録されています。添付文書やインタビューフォームは基本中の基本ともいえる情報で、皆さん、ご利用いただいていることと思います。重篤副作用疾患別対応マニュアルには、重篤な副作用の早期発見や治療に有用な情報がわかりやすくまとめてあります。患者向医薬品ガイドは、添付文書の情報を患者さんに理解しやすい言葉で作成したもので、服薬指導などにも有用です。RMP(リスクマネジメントプラン)を見ていただくと、その医薬品にどのようなリスクか考えられ、リスクを最小化するために何が行われているかを簡潔に知ることができます。また、RMPに基づき作成された資材もすべて、PMDAのホームページでご覧いただくことができます。さらに深い理解、幅広い知見を得るために、審査報告書やレギュラトリーサイエンスのページもご活用いただけます。
令和6年度調剤報酬改定では、例えばRMPの患者向け資材を活用した情報提供など、薬局におけるRMPに基づいた薬学的管理が診療報酬上も評価されることとなりました。PMDAのホームページでは、RMPについてより理解いただくためのe-ラーニング動画や「3分でわかる!RMP講座」も公開しています。
ところで、PMDAメディナビは、過去に診療報酬改定で加算のための留意事項に情報取集の手段として記載されたことで、一気に登録数が増えました。RMPも今後活用が促進されることが期待されますが、薬剤師の現場における忙しさは理解しつつも、診療報酬の評価がなくても、薬剤師が様々な情報を活用して、患者さんのためになる活動を推進し、医療の質の向上に益々寄与していくことを期待しています。