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漢方薬・生薬認定薬剤師に期待すること 

2026年6月

一般社団法人日本生薬学会 会長 永津 明人

 

 日進月歩の医療の進展の中で、新薬の登場や新しい治療法の開発による治癒率の向上などが実現してきていますが、その中で、大昔から存在する薬である漢方薬もひと役かっていることが多々あります。基礎研究の成果や、多くの現場での日々の実践データの蓄積から、エビデンスが集積し、疾病治療のガイドラインに漢方薬が収載される例も広がってきており、患者の延命やQOLの向上にも大きく寄与しております。また、漢方薬の強みである従来の医薬品では対応できない不定愁訴等での利用はもとより、呼吸器感染症の流行の中で確定診断がつかない場合の対応策としての漢方薬の利用など、証を基とした治療に使用される漢方薬の特徴が現代の医療の中で存分に発揮される場面も多々見られます。治療の円滑な遂行を補助する、未病を治す、早期に治療開始できるなど、漢方薬を正しく理解し利用する、あるいは利用を促すことが、効率的な医療にも寄与しています。国民の健康的な生活やQOLの向上という点ではもちろん、医療費という観点からも、薬剤師として漢方薬に関する専門的知識を有していることは極めて重要といえます。

 日本生薬学会は、2000(平成12)年に薬剤師研修センターと共同で「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」を開始いたしました。この制度は、漢方薬及び生薬に関する専門知識を修得し、能力と適性を備えた薬剤師であることを認定する制度で、日本生薬学会に所属する多くの学会員が、認定研修のカリキュラム編成やテキストの編纂、講義の講師、薬用植物園実習、試問の実施に関わっております。この研修の中では、日々の業務にも直結する実践的な内容はもとより、漢方薬・生薬の利用の最新情報や、生産・流通に関わる諸問題に至るまで幅広く学修することができます。また、認定の資格取得後も研修単位の取得が必須ですが、日本生薬学会や関連の各学会が、学会の年会や講演会、シンポジウムなどを通じて、漢方薬、生薬さらには天然由来成分に関する内容も含めて、最新の知見、実践的な応用などを盛り込んだ研修を実施しています。本制度は、日常的な漢方薬の取扱いが必須である場合はもとより、日々の服薬指導や薬の適正使用に関わる職能の向上にも寄与するものと確信しております。

 この認定を受けた薬剤師の活躍が、漢方薬の有用性、有効性を活用した国民の健康的な生活、QOL、効率的な医療に大きく寄与すること、さらには、漢方薬・生薬認定薬剤師の活躍を通じて、漢方薬のこれらへの寄与について国民の理解が広がることを期待しております。