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がん医療の中で、病院・薬局・大学、全ての薬剤師をつなぐ力 

2026年9月

一般社団法人 日本臨床腫瘍薬学会
 理事長 松井 礼子

 

近年、がん薬物療法は目覚ましい進歩を遂げ、治療の選択肢は飛躍的に広がりました。一方で、治療はより複雑化し、薬剤師に求められる役割も大きく変化しています。薬剤師は、薬物療法の適正使用や副作用マネジメントに加え、患者さん一人ひとりの価値観や生活に寄り添い、多職種と協働しながら最適な治療を支えていくことが、これまで以上に重要となっています。

  このような時代だからこそ、薬剤師の臨床力、多様性の人材の強化は必須ですが、その実践には「臨床」「研究」「教育」の三つがつながることが大切ではないかと考えます。病院薬剤師は高度ながん薬物療法を実践し、薬局薬剤師は地域で患者さんの治療継続を支え、大学教員は教育と研究を通じて医療に貢献しています。それぞれ立場や役割は異なりますが、互いの強みを理解し、連携することで大きな力となり、新たな価値が生まれると信じています。

 臨床現場では日々多くの課題や気づきがあります。その一つひとつを臨床応用、研究によって検証し、新たなエビデンスとして発信していくことは非常に重要です。そして、その成果を次世代へ受け継ぎ、再び臨床へ還元していく。この循環が繰り返されることで、薬剤師の専門性はさらに高まり、患者さんへ提供する医療の質も向上していくものと考えています。

 また、患者さんや市民の皆様の目線に立ち、幅広い視点からがん医療を考える姿勢も欠かせません。専門領域で培った知識や経験を患者さんや地域へ還元し、多職種と連携を深めることにより良い医療を届けていくことも、これからの薬剤師に期待される重要な役割です。

 私たちの根底にある「患者さんのために」という思いは、病院・薬局・大学等という立場の違いを超えて共通するものです。それぞれの専門性や強みを生かしながら互いに連携し、協力し合うことこそが、これからのがん医療を支える薬剤師の実践の質の向上につながり、患者さんにより大きな価値を届ける力になると信じています。

 本学会としても、病院・薬局・大学・その他がん医療にかかわる全ての薬剤師をつなぐ架け橋となり、薬剤師の専門性の向上と、より良いがん医療の実現に貢献してまいります。